空き家の放置は危険!損害賠償請求されるかも…不動産売却、管理など早急に対処して
空き家を所有しているけれど、遠方でなかなか管理ができていないという場合があると思います。
空き家は放置しておくと、無断で誰かが住み込んでしまったり、手入れの行き届いていない家屋はだんだんと傷んでいき倒壊したりする危険もあります。他人に損害を与えてしまう可能性もあるのです。
使っていないからといって空き家を放置するのは危険。様々なリスクがありますので、何らかの対策を講じる必要があるでしょう。
今回は、空き家を放置することによってどのようなリスクがあるのか、また遠方で管理のできない空き家をどうすれば良いのか、その対策についてご紹介します。
空き家を放置すると、どんなリスクやデメリットがあるの?
相続したものの使い道がなかったり、遠方で手入れできなくなったり、そのまま放置してしまっている空き家があれば、それはとても危険です。
空き家を放置することはこのようなリスクがありますので、気をつけてください。
1.家が傷む
人が住まなくなった家は急速に傷んでいきます。締め切った部屋は湿気がこもってカビが生えやすくなる他、出入りがなくてもホコリやゴミは溜まります。
定期的に窓を開けて換気をしたり、掃除をしたりしないと、老朽化がどんどん進んでいくのです。
2.資産価値が下がる
家は手入れをしていなければどんどん資産価値が下がっていきます。
きれいにしておけばまだ買い手がつくかもしれませんが、傷んでしまうと大幅に買いが下がり、相場価格よりもかなり安い価格でしか売れなくなります。
家を維持するにはお金も手間もかかりますが、そこに手間をかけないと、かえって出費がかさむことになってしまいます。
3.庭が荒れることでのトラブル
小さくても庭がある場合、そこに生えている木や雑草が周りに迷惑をかけてしまうことがあります。
庭が雑草だらけで荒れていると、見た目にももちろん良くないのですが、害虫が発生するなどの被害も予想されます。
法的にもきちんと責任持って管理してくださいということが明記されていわけですから、知らなかったでは済まされないのです。
4.損害賠償のリスク
庭が荒れる以外にも様々なトラブルが予想されます。
- 塀が壊れる、倒れる
- ゴミが不法投棄される
- 放火される
- 台風で瓦が飛ばされる、窓が割れる
- 野良猫や野良犬が住み着く
- 自然災害によって家が倒壊する
きちんと管理していれば起こらないこともあります。特に日本は災害大国。地震や台風、大雨など今や一年中どこかで災害が起きています。
自分の土地だけは例外、ではないのです。
5.維持費がかかる
家と土地は、住んでいなくても放置をしていても所有者に納税の義務があります。土地と家屋、両方に固定資産税がかかります。
いずれにしても、住んでもいないところに税金を払い続けるのは大きな無駄ではないでしょうか。
6.治安の悪化の原因にも
今、空き家の治安が問題になっています。誰もいない家に入り込んで住みつく人がいますし、良からぬ人が入り込むことによって近隣の治安が悪化する恐れがあります。
ご近所さんにとっては中がどうなっているか分からない…ということは大きな不安要素ですよね。
被害が出てからでは遅いので、空き家のせいで災害や犯罪が起きた、などとならないようにしたいものです。
7.火災保険の対象にならないケースが多い
放火の危険があるとなると、火災保険に入っていればいいのではと思うかもしれませんが、残念ながらそれはできません。
火災保険は「空き家には適用されない」としている保険会社がほとんどだからです。
いや、親が住んでいた時から引き続き保険料を払っているのだから大丈夫、と思っているなら、約款を再度確認してください。
実際に居住している家でないと保険が適用されない、となっていた場合、いくら保険料を払っていても火災保険はおりません。
それは、そもそも適用される条件に当てはまらないことと、空き家になったことを保険会社に伝えていないという告知義務違反にもなるからです。
8.近隣の住宅の資産価値をも下げてしまう
空き家を放置しておくと、資産価値が下がるのはあなたの家だけではありません。周囲のお宅にも迷惑をかけてしまう可能性があります。
庭は雑草だらけで害虫も発生しているとなったら、その隣の家を買おうとは思わないでしょう。
放置された手入れのされていない空き家が1軒あるだけで、近隣のお宅の資産価値までも下げてしまうのです。
行政指導が入るかも!?空き家に関する特別措置法について知ろう!
近年、放置された空き家が増え続けていることから、ついに行政側も対策に乗り出しました。
2015年5月に「空き家対策特別措置法」という法律が施行され、空き家を放置しておくと行政から指導が入るようになりました。
空き家の状態と認定される条件
まず、空家と認定される条件ですが、ただ人がそこに住んでいないからといって空き家になってしまうのではありません。
- 倒壊の恐れがある
- 保安上危険である
- 衛生上有害である
- 著しく景観を損なっている
このような状態になっている空き家ですと「特定空家」に認定されてしまいます。
「特定空家」に指定された場合
では特定空家に指定されてしまうとどうなるか、について説明します。
まず最初に行政が立ち入り調査を要求してくるでしょう。調査をした結果、ここは危ないと判断されるともう少しきちんとお手入れしてくださいね、という指導が入ります。
指導をしてもいうことを聞かない場合は、今度は「勧告」といって、もう少し強めの指導が入ります。
勧告を受けると、固定資産税の特例が適用されなくなるため、更地と同じ固定資産税がかかることになります。
また、行政の指導に従わないということで、50万円以下の過料が科せられてしまいます。
行政代執行による解体
それでも指導に従わない場合、行政は代執行により解体等の作業を行うことができるようになります。ゴミを破棄し、空き家を解体してしまうのです。
その解体費用等は全て所有者に請求されます。空き家を放置したために、家は取り壊され、その費用数百万円を請求されることになるのです。
そうなる前になんとか対処しておくべきでしょう。
空き家を解体して更地にした場合
では、強制執行される前に空き家を解体してしまおうと思うかもしれません。
解体するにも費用がかかります。また、更地にすると宅地の特例措置が受けられなくなるため、固定資産税が6倍になってしまいます。
空き家を放置しないためにはどうすればいい?7つの対策法
では、特定空家に指定されないようにするにはどうすれば良いのでしょうか。遠方でも適切に管理をする方法を考えます。
1.定期的に管理しに行く
それほど遠くないのであれば、定期的に管理をしに行くのが一番です。窓を開けて換気し、適度に掃除をしましょう。
売るにしても、将来自分が住むにしても、その時のためにしっかりと手入れをしておきましょう。
2.空き家を管理してくれるサービスを利用する
遠方で管理をしにいけないという場合には、空家管理サービスを利用してみてはいかがでしょうか。
1ヶ月の料金は5000円~1万円くらいのところが多いですが、交通費や割く時間を考えるとお手頃なサービスといえるでしょう。
3.空き家バンクを利用する
空き家を売る、もしくは貸し出すなどして活用したいと考えているならば、「空き家バンク」を利用するのもいいでしょう。
空き家バンクとは、不動産会社ではなく自治体が運営しているものです。
空き家のある自治体のサービスを調べてみてください。
4.賃貸などにして活用する
今すぐには売らない、という場合は賃貸するという方法もおすすめです。
一軒家を安く借りたいという人はいますし、民泊などに利用したいという人もいるでしょう。それで少しでも収益が上がるなら、税金の足しにもなりそうです。
5.解体する
本当に使い道がないと思ったら、いっそのこと解体してしまってもいいかもしれません。
更地にすると特例がなくなるために固定資産税が高額になるリスクがあるものの、建物がなくなれば、建物と土地にかかっていた税金が土地だけにかかることになります。
建物分の税金額によっては、逆に節税になるケースもあります。
6.売却する
もしまだ売れる状態の家屋が建っているなら、早めに売ってしまうのもありです。
最近では古い家を安く買って、自分で好きなようにリノベーションしたいという人も増えているので、解体して土地を売るよりもいいかもしれないですよ。
7.不動産屋に買取してもらう
どうしても売れない、かといって解体する費用もないという場合には、「買取」をしてくれる不動産会社を探してみましょう。
すぐに見つかるとは限りませんが、あまり贅沢を言わなければきっと見つかるでしょう。
空き家を賢く売るための5つのコツ
賢く売るためのコツを5つ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
まずは一括査定サービスを利用しよう!
空き家に限らず、できるだけ高値で不動産を売却するためのコツは、「情報収集」にあります。不動産の相場価格を確認しておきましょう。
相場価格は、不動産の一括査定サービスを利用すればすぐにわかります。多数の不動産業者から査定結果を受け取れるので、大まかな傾向を掴んでみてください。
買取と仲介は状況に応じて選択しよう
不動産売却には、大きく分けて「買取」と「仲介」の2つの方式があります。どちらが有利なのかは、状況によって異なるでしょう。
買取では、不動産会社が直接買い取ってくれます。価格は低くなりがちですが、「時間をかけずより確実に売れる」というメリットがあります。
- 売却の事実を周囲に知られたくない
- 古くリスクのある空き家を売却したい
- できるだけ早く現金化したい
このような場合には、ぜひ買取についても検討してみてください。
一方、仲介の場合、不動産会社を介して一般の消費者に物件を売ることになります。
人気エリアの物件や状態の良い空き家であれば、より有利な条件で売却できる可能性があるでしょう。「時間をかけてでも、より高く売却したい」という方におすすめです。
税金の優遇措置を活用しよう
空き家の売却時には、条件に応じて税金の優遇措置を受けられる可能性があります。自身の場合に適用されるのか、しっかりとチェックしておきましょう。
- 空き家の発生を抑制するための特例措置
- 相続から3年以内に、空き家となった不動産を、一定の要件を満たして売却した場合に、譲渡所得から3,000万円を控除できる。(空き家の3,000万円特別控除)
2018年度からは適用要件が緩和され、より多くの人が優遇措置を受けられるようになっています。
空き家を相続した場合などには、できるだけ早めに今後について検討しましょう。
必要に応じてリフォームや解体も検討しよう
状態の悪い空き家を売却するのは、決して簡単ではありません。この場合、必要に応じて適度に手を加えることで、より有利な条件で売却できる可能性があります。
- 物件をリフォームして魅力度を高める
- 空き家を解体して土地としての価値を高める
どちらの場合も、手を加えるためにはコストがかかります。「コストをプラスしても売却によって利益を得られるのか」が、重要なポイントとなるでしょう。
不動産会社にアドバイスをもらいながら、今後の方向性を決定しましょう。
空き家に強い不動産会社を選ぼう
不動産会社にはそれぞれ特徴があり、力を入れている物件にも違いがあります。
だからこそ重要なのは、「空き家に力を入れている不動産会社を探し、依頼する」ということ。空き家の価値を、より正確に見極めてくれる可能性が高いです。
空き家に強い不動産会社をネットで調べたり、一括査定見積もり時に、空き家の取り扱い実績について、問い合わせてみるのも良いでしょう。
空き家は絶対放置しないで!管理するか売るかスグ対策を!
使っていないからといって空き家を放置するのは、法的にも倫理的にも良くないということがお分かりいただけたでしょうか。
誰も住んでいない、中がどうなっているかわからない、今にも倒れそうな家が近所にあったら、やはり嫌ですよね。
周りの人にも迷惑をかけたり損害を与えてしまわないよう、空き家は適切に管理しましょう。
もしも「売る」という選択をする場合は、複数の不動産業者に見積もり依頼をすることをおすすめします。相場感を掴んでおくことは、その後の売却交渉に有利です。
一括査定で、少しでも自分の理想の金額で売れるように頑張ってくれる担当者がいる不動産屋さんと出会えるチャンスを掴み、空き家の売却を成功させましょう。